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Plastic toothbrushes with toothpaste question mark

歯科治療を中断した場合に考えられる悪影響

2023年6月15日

歯科治療の中断は、治療をしないで放置するよりも、もっと悪い結果をもたらすことがあります。
せっかく治療を始めたのに、もっと悪い状態になって神経を取る治療や抜歯をするというのでは本末転倒です。
治療中断といっても色々な場合がありますので、いくつかのケースについて説明していきます。
もし治療を中断しているのなら、もう2度と生えてこないかけがえのない歯の為に、出来るだけ早めに治療を再開して下さい。

①応急処置のままで中断

応急処置で痛みや腫れなどの症状がなくなったためにそのまま治療を中断している方もいらっしゃると思います。
応急処置とは症状を軽減・緩和させることが目的で、原因を根本的に治す治療ではありません。
そのままにしていると症状が悪化してしまい、さらにひどい痛みや腫れを引き起こす場合があります。症状が落ちついたら、本格的な治療を開始して下さい。

②仮歯のままで中断

仮歯が入ると、見た目や機能が回復するために、そのまま治療を中断している方もいらっしゃると思います。仮歯というのは、あくまでも一時的な使用が目的です。
仮歯は歯との隙間が大きいのですぐに虫歯になってしまいます。またプラスチックで出来ている仮歯はすり減ってしまう為に、長期間使用すると隣の歯や咬み合わせの歯が移動してしまいます。その状態で治療を再開した場合、歯が移動した分だけ歯を削る必要があり、中断の期間が長いと、根管治療(神経治療)が必要になるほど削らなければならないこともあります。
仮歯のままで6カ月以上治療を中断されている場合は、出来るだけ早く治療を再開して下さい。

③根管治療(神経治療)を中断

神経を取って痛みがなくなった為に、そのまま治療を中断している方もいらっしゃると思います。
根管治療をしている期間は、歯の中に菌が入り込みやすくなり、虫歯が急速に進行したり、根っこの先に膿がたまってしまったりします。
神経がない為に痛みがでることも少ないので、気づかないうちに症状が進行してしまっていて、治療を再開すると抜歯になってしまうということも少なくありません。
また、根っこの先に膿が溜まったままで長期間放置した場合では、治りも悪くて再発率も上がってしまいます。そのため、治療を早く再開することをお勧めします。

④歯周病治療を中断

歯周病治療には回数がかかることもあり、痛みや腫れの症状が落ち着いたら歯周病治療を中断している方もいらっしゃると思います。
歯石が少しでも残っていると歯周病は少しずつ進行してしまいます。中途半端に歯石を除去してもあまり意味がなく、口の中から完全に除去する必要があります。
一度歯周病治療を終えれば、あとは定期的な検診やクリーニングをしていくことでお口の健康を管理していくことができるのです。必ず最後まで治療をしてください。

まとめ

忙しくて時間がとれない、いつまでも治療が終わらないことや金銭的にいくらかかるのか不安になったり、治療する時に痛いのが嫌で怖いなど、治療を中断してしまう理由は様々だと思います。
しかし治療を中断すると病気は少しずつ進行してより悪化していしまい、結果的に自分の健康を害してしまうことになります。そうならない為に治療は最後まで続けて通っていただくことをお勧めします。

タバコと歯を天秤にかける

タバコは百害あって一利なし

2023年2月11日

タバコが人類の歴史に登場して8千年以上が経ちますが、紙巻タバコという製品形式が開発され、大量生産、大量消費の時代に突入してからは1世紀ほどしか経っていません。

しかし、その間にタバコは税を通じて世界中の国々で国家財政上必要なものとなり、かつ巨大な利益を生むタバコ産業による利益構造が成立してしまいました。

そのため、タバコが多くの疾患を引き起こし、人を死に至らしめることがわかってからも禁止されないのです。

タバコの毒性

ニコチンは「毒物及び劇物取締法」の対象となっている毒物です。
小児においてはタバコ1本に含まれるニコチンが致死量となり、家庭内においてタバコはいまだに小児の誤嚥、誤飲事故のトップとなっています。

タバコに含まれる有害成分や発がん物質が身体中の細胞を傷つけ、循環器疾患、呼吸器疾患、がん、生殖系への障害をもたらすのです。
1種類の製品で、これほどさまざまな疾患の原因になるものは、ほかにはありません。

タバコによって引き起こされる疾患は、肺がんや膵臓がん、心筋梗塞など予後が悪いものが多く、そのために日本では1年間で約13万人が喫煙で、1万5千人が受動喫煙で命を落とし、世界中では年間600万人がタバコによる被害者となっているといわれています。

現在、40歳以上の8割が歯周病に罹患しており、歯の喪失の大きな原因になっています。また、日本では毎年約7千人が口腔がん(咽頭を含む)で亡くなっています。
さらに、日本の喫煙率は年々低下していますが、男性で32.1%、女性で8.5%、特に30〜40代の男性では40%以上が喫煙者となっており、生涯の健康に対する大きな課題といえます。

タバコは、どこで吸いますか?もちろん、「口」で吸いますよね。ですから、最初に煙にさらされ、そしてもっとも強い影響を受けるのが口腔内になります。

タバコを吸いはじめたり、受動喫煙の環境にあると、最初に認められるのが歯肉の着色です。ニコチンやタールなどの有害物質から歯肉を守るためにメラニン色素がつくられ、歯肉は黒ずみ、分厚く硬くなってしまいます。
この着色は「量依存性」があるといわれ、喫煙本数と喫煙経過年数が多いほど、着色は濃く、広くなっていきます。しかし、禁煙により有意に減少し、5年で半減すると報告されています。

喫煙と歯周病

タバコの煙には、三大有害物質として一酸化炭素、ニコチン、タールが含まれていますが、特に歯周組織に対しては、ニコチンの血管収縮作用による影響が大きいといわれています。喫煙者は歯周炎の特徴である歯肉の出血が少なく、悪い血が溜まりやすくなります。骨が部分的になくなりやすく、歯周治療をしても良くなりにくい傾向にあります。
歯磨きをきちんと行いメンテナンスに通っていたとしても歯周病をコントロールすることは難しいと考えられます。

タバコは「禁止されているものではないから」「自分の人生だから」といってなかなか禁煙できずにいる方も多いかと思います。
喫煙者は平均して非喫煙者よりも約10年も平均寿命が短いといわれています。
脳卒中をはじめとした、要支援、要介護の原因疾患は、その多くが喫煙関連であり、健康寿命と平均寿命との間にやはり10年の要支援、要介護の期間があることから、喫煙者は喫煙の自由と引き換えに人生の不自由さを手に入れることになるのではないでしょうか。タバコの害は喫煙者が想像している以上に大きいのです。

今一度タバコの害に対して考えてみてはいかがでしょうか。
歯周病の進行度合いや着色汚れの除去などメンテナンスやクリーニングで確認いただけます。