歯科治療の中断は、治療をしないで放置するよりも、もっと悪い結果をもたらすことがあります。
せっかく治療を始めたのに、もっと悪い状態になって神経を取る治療や抜歯をするというのでは本末転倒です。
治療中断といっても色々な場合がありますので、いくつかのケースについて説明していきます。
もし治療を中断しているのなら、もう2度と生えてこないかけがえのない歯の為に、出来るだけ早めに治療を再開して下さい。
①応急処置のままで中断
応急処置で痛みや腫れなどの症状がなくなったためにそのまま治療を中断している方もいらっしゃると思います。
応急処置とは症状を軽減・緩和させることが目的で、原因を根本的に治す治療ではありません。
そのままにしていると症状が悪化してしまい、さらにひどい痛みや腫れを引き起こす場合があります。症状が落ちついたら、本格的な治療を開始して下さい。
②仮歯のままで中断
仮歯が入ると、見た目や機能が回復するために、そのまま治療を中断している方もいらっしゃると思います。仮歯というのは、あくまでも一時的な使用が目的です。
仮歯は歯との隙間が大きいのですぐに虫歯になってしまいます。またプラスチックで出来ている仮歯はすり減ってしまう為に、長期間使用すると隣の歯や咬み合わせの歯が移動してしまいます。その状態で治療を再開した場合、歯が移動した分だけ歯を削る必要があり、中断の期間が長いと、根管治療(神経治療)が必要になるほど削らなければならないこともあります。
仮歯のままで6カ月以上治療を中断されている場合は、出来るだけ早く治療を再開して下さい。
③根管治療(神経治療)を中断
神経を取って痛みがなくなった為に、そのまま治療を中断している方もいらっしゃると思います。
根管治療をしている期間は、歯の中に菌が入り込みやすくなり、虫歯が急速に進行したり、根っこの先に膿がたまってしまったりします。
神経がない為に痛みがでることも少ないので、気づかないうちに症状が進行してしまっていて、治療を再開すると抜歯になってしまうということも少なくありません。
また、根っこの先に膿が溜まったままで長期間放置した場合では、治りも悪くて再発率も上がってしまいます。そのため、治療を早く再開することをお勧めします。
④歯周病治療を中断
歯周病治療には回数がかかることもあり、痛みや腫れの症状が落ち着いたら歯周病治療を中断している方もいらっしゃると思います。
歯石が少しでも残っていると歯周病は少しずつ進行してしまいます。中途半端に歯石を除去してもあまり意味がなく、口の中から完全に除去する必要があります。
一度歯周病治療を終えれば、あとは定期的な検診やクリーニングをしていくことでお口の健康を管理していくことができるのです。必ず最後まで治療をしてください。
まとめ
忙しくて時間がとれない、いつまでも治療が終わらないことや金銭的にいくらかかるのか不安になったり、治療する時に痛いのが嫌で怖いなど、治療を中断してしまう理由は様々だと思います。
しかし治療を中断すると病気は少しずつ進行してより悪化していしまい、結果的に自分の健康を害してしまうことになります。そうならない為に治療は最後まで続けて通っていただくことをお勧めします。