歯周病は知らないうちに歯ぐきの骨がなくなる恐ろしい病気です
歯周病は、慢性疾患です。
日本人の35歳以上の80％が歯周病に罹患していると言われています。
歯茎が腫れる、歯茎から血や膿（うみ）が出る、歯がグラグラする、等の症状は歯周病です。
重度になると歯が抜け落ちてしまうこともあります。
歯周病は一度かかってしまうと完治は難しく、“継続した治療”が大切となります。
しかし継続した治療を維持することで、大半の歯周病は状態を改善することができます。
口腔内の状態は患者さんによって違います。
お一人おひとりに合った治療プランをご提案いたします。
歯周病とは？放っておいたらどうなる？
歯周病は、歯周病の細菌に感染することで起こる疾患です。
歯周病にかかってしまうと、歯茎が腫れたり、出血したりしますが、初期の自覚症状はほとんどなく、気づいた頃には重度の状態まで進行していたということも少なくありません。
重度の状態まで進行してしまうと、歯が抜け落ち、自分の歯を失うことになります。
自分の歯を失う原因の半数を占めるほど歯周病は、身近な病気です。
健康な歯肉ってどんな状態？
健康な歯肉を知っておくことで、日常的に自分でも鏡を見て確認できます。健康的な歯肉は、淡いピンク色で、しっかり弾力があり、歯と歯の間の歯肉はきれいな三角形になっています。
歯周病はどのように進行する？
初期（歯肉炎）
①歯茎が赤くなって腫れ、歯磨きをすると出血がみられるようになります。歯の表面にふれるとザラザラとした感触になることもあります。
軽度
②少しの刺激でも出血が見られるようになり、歯茎の溝も深くなって膿も混じりはじめます。この時点で口臭が気になるようになり、お口の中の乾燥やねばつきが見られます。
中度
③見てわかるほど歯茎の腫れが悪化し、範囲も広くなります。咀嚼時の違和感や痛みなども気になるようになり、歯が揺れるような感じがします。口臭も強くなります。
重度
④噛む力がなくなり、柔らかいもの以外は噛みにくくなります。膿が歯茎に溜まり腫れもさらに悪化します。
顎骨が溶けてしまい、ほとんどの場合自分の歯を失うことになります。この状態を放置すると全身の健康にも悪影響を及ぼします。
歯周病のセルフチェックをしてみよう
下記に当てはまる症状がある方は、歯周病の可能性が高いです。
重度の状態になってしまう前に、すぐに歯科医院で診てもらいましょう。
- 歯茎が痛む
- 歯茎が赤く腫れている
- 口臭が気になる
- 歯がグラグラして違和感を感じる
- 歯茎がしみる
- 歯が伸びて長くなったように感じる
- 歯磨きをすると出血がある
歯周病と全身疾患
歯周病はお口の中だけでなく、糖尿病や心臓関連の疾患など、全身疾患とも深い関わりがあることが明らかになっています。歯周病の症状でしばしば見られる出血はそのままにしておくと、歯垢が歯周ポケットの中に潜り込んで次第に歯周組織を破壊して炎症を繰り返してしまいます。
歯周病によるお口の中の炎症が続くと、歯肉から出た毒性物質が全身に入り込んでしまい、全身を蝕んでしまうリスクがあります。
歯周病の予防や治療は、お口の中の健康を守るだけでなく、全身の健康を守ることにも繋がるのです。
歯科衛生士による専門治療
歯周病は、プラーク(細菌の塊)が溜まることで進行を招きます。
プラーク(細菌の塊)は次第に、歯石やバイオフィルムという集合体を形成し、いったん出来てしまった歯石やバイオフィルムは歯磨きだけでは除去できません。
この歯石やバイオフィルムを除去するには、歯科医院の専門器械を使った施術が必要となります。
超音波スケーラー
超音波振動により歯石のみを砕き取り除きます。
手用スケーラー
名前にもあるように、スケーラーにて手作業で丁寧に除去していきます。
超音波スケーラーの効果は抜群ですが、歯茎の奥や歯並びの複雑な部分では、取りきれない場合があります。
そこで、その部分は、経験を積んだ歯科衛生士の手でじっくりと除去していきます。
PMTC
プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング（Professional Mechanical Tooth Cleaning)の頭文字で、歯科医院で専門的に行う、お口のケアプログラムのことです。
細菌は次第にバイオフィルムという集合体を形成し、いったん出来てしまったバイオフィルムは歯磨きだけでは除去出来ません。
ふだんの歯磨きでは取りきれない歯の着色・汚れを落とし、本来の白く輝く色を取り戻します。
出来てしまったバイオフィルムの除去にもつながります。
口臭やむし歯、歯周病予防の効果にもつながります。
エムドゲイン
エムドゲインは、スウェーデンのビオラ社で開発された、歯周組織再生誘導材料です。
エムドゲインの主成分（エナメルマトリックスデリバティブ）は、子どもの頃、歯が生えてくるときに重要な働きをするたん白質の一種です。
歯周外科治療の際に、治療部位にエムドゲインを塗布することにより、歯の発生過程に似た環境を再現します。
こうして、初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能をもつ歯周組織の再生を促すのです。
歯周病の治療は保険適用？
結論から言ってしまうと、歯周病の治療は、基本的にすべて保険診療で行われるため、自己負担は3割になります。頑固な歯石を除去することから、細菌に侵食され健康状態が損なわれた骨の表面を回復させる処置まで全て保険適応内となります。
歯周病治療にも、最先端の機器を用いた治療や検査など、自由診療ももちろんありますが、日本国内の健康保険制度では歯石および歯垢の除去、歯周外科処置、治療後のメンテナンスまで保険が適応されますので、保険治療でも十分な治療を受けられると考えてもらって良いでしょう。
とはいえ、患者様の状態によっては自由診療で治療を受けた方が最善の治療を受けられることもあります。歯周病治療を受ける際は、「安いから」「高いから」という費用面だけで判断するのではなく、患者様自身の健康のために何が一番良い方法かを一番に考えていただき、総合的に判断するようにしましょう。
歯周病の治療費用はどのくらい？
歯周病の治療は、基本的にすべて保険診療で行われるため、自己負担は3割になります。
歯周病の治療は、保険適用内で治療できますが、治療の回数や種類、頻度などに制限があります。
歯周再生療法を利用する場合は、歯科医院によって保険診療か自費診療かが変わってきます。
骨移植をする場合は、自由診療になります。
歯周再生療法の費用相場
保険適用の場合：1歯につき10,000円程度
自由診療の場合：1部位につき55,000円〜77,000円（税込）程度
歯周病から歯を守る
治療が終了しても、その後また歯周病が再発してしまっては意味がありません。
治療した歯や歯茎の状態を点検(メンテナンス)し、お口全体のクリーニングを行って歯周病になりにくい口腔環境を作っていきます。
国家資格を持った「歯」を知りつくした専門の歯科衛生士が、あなたのお口の健康状態をチェックしたうえで、治療処置を行いますので安心してお任せ下さい。
