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口腔外科

口腔外科とは

歯周病から歯を守る

「口腔外科」では、顎変形症などの外科的疾患やスポーツや事故による外傷などの外科的疾患はもちろんのこと、口腔粘膜疾患などの内科的疾患の治療も行います。この領域で取り扱う疾患には、歯が原因となるものからがんまで様々なものがあります。例えば、深く埋まった親知らずの抜歯や口内炎などの粘膜の病気、口腔内のケガ、顎など顔まわりの骨折、顎変形症、顔周りの神経の病気、顎の骨の腫瘍や膿の袋の治療などです。
これらの症状は、普段の生活や言葉の発音などの機能を阻害し、外見にも大きな影響が出る場合があります。これらの症状の治療を行い、お口や顔回りの自然な形や機能を回復させ、健康的な美しさを取り戻すのが「口腔外科」です。

口腔外科でよくみられる相談

  • 歯が折れた
  • 口の中の粘膜が切れた
  • 口内炎がなかなか治らない
  • 親知らずが気になる
  • 口を開け閉めすると痛い、音がする
  • 舌が痛い
  • 味覚に異常がある
  • 口の渇きが気になる

口腔外科で扱うさまざまな症状

口腔外科では、歯や歯茎、口の中だけでなく、顎などの口の周りの感染症やケガ、できものなど、さまざまな症状に対応します。口腔外科では、次のような症例に治療にあたります。

親知らずの抜歯

親知らずの抜歯

親知らずは、前から8番目の奥歯で「第3大臼歯」とも呼ばれる歯です。一般的に10代後半から20代前半までに生えてきますが、もともと親知らずがない方もいらっしゃいます。
親知らずは必ず抜かなければならない歯ではありませんが、親知らず周りの歯ぐきが炎症を起こしている、むし歯になっている、歯列に影響を与える可能性があるなどの場合は抜歯を検討します。
また、生えてくる際に十分なスペースを確保できない親知らずは、横や斜めを向いて骨の中に埋まってしまうことがあります。このような親知らずも、歯肉を切ったり、歯を分割したり、骨を削るなどの外科処置によって抜歯する場合があります。
→親知らずページへリンク

顎関節症

顎関節症
下記は顎関節症の3大症状といわれています。
  • 口を開けるとき、カクッというような音が耳の前あたりでなる
  • 口があけにくくなった
  • 顎が口を開けたり閉じたりするときに痛む

耳の前あたりにある関節が顎関節です。顎関節を支える筋肉に咬み合わせなどが理由で緊張が加わると、関節円盤(線維性結合組織)が下顎頭(関節頭)の動きにあわせて動きが悪くなります。そのため、痛みや関節音、口が開けにくくなるという症状が現れます。 他にも原因はさまざまで、咬む力や咬み癖、生活習慣やストレス、姿勢の悪さなども関与します。
→顎関節症ページへリンク

歯の移植(自家歯牙移植)

お口の中の使っていない歯(親知らずなど)を、歯科治療で抜歯した部分へ移植する治療法を「自家歯牙移植」といいます。もとの歯を何らかの原因で失ってしまった場合には、その場所を補う治療が必要です。ブリッジや入れ歯、インプラントが代表的な選択肢になりますが、「自家歯牙移植」も選択肢の一つとして挙げられます。すべてのケースで自家歯牙移植が適応できるとは限らないため、慎重に検討を進めるようにしましょう。

お口の中やその周囲の裂傷・歯の破折等の治療

お口の中やその周囲の裂傷・歯の破折等の治療

スポーツや交通事故、転倒などによる顎顔面領域の外傷として代表的なものには、骨折、歯の外傷、軟組織の外傷が挙げられます。

顎の骨や顔面の骨の骨折は、骨折の部位や程度により症状や治療方法が異なりますが、基本的には骨折してずれた骨を正しい位置に戻す外科手術が必要です。

歯の外傷には、亜脱臼、完全脱臼、破折、嵌入があります。亜脱臼や脱臼、嵌入の場合は、できるだけ歯牙をもとの位置に戻せるよう、固定処置などを行います。破折の場合は、破折した場所によって処置内容が異なります。歯冠の欠けに対してはコンポジットレジンやインレーなどで修復できることもありますが、歯髄が露出している場合は根管治療が必要になります。また、歯根が破折している場合は保存できるケースもあれば抜歯になるケースもあります。

顔面の皮膚や口唇、歯肉、舌などの軟組織の外傷には擦過傷(擦り傷)、裂傷、咬傷、穿孔などが挙げられます。まずはしっかり止血を行った後、縫合処置や抗菌薬の服用などを行います。

顎骨や口腔軟組織の腫瘍(良性腫瘍、舌がん、歯肉がん、頬粘膜がんなど)の治療

顎骨腫瘍(エナメル上皮腫、歯牙腫など)は、顎の骨の中にできる腫瘍です。症状がないことが多く、大きくなってから発見されることも珍しくありません。良性の腫瘍ではありますが、レントゲンだけでは診断できないため、組織検査なども行って原因を明らかにし、適切に対応することが大切です。

口腔がんは舌、歯肉、頬粘膜、口蓋、口底、口唇などに生じますが、約6割は舌がんであるともいわれています。好発年齢は60歳代ですが、近年は20〜40歳代の人にも発症者が増えており、注意が必要です。症状が進むにつれて食べる、飲み込むなどの動作に制限が出るなど日常生活に支障をきたすことがあります。お口の中に違和感がある場合は、できるだけ速やかに受診しましょう。

お口の中や顎にできた腫瘍や嚢胞は、レントゲンによる画像診断や組織検査を行うことで原因を明らかにし、適切な処置を行います。

口腔の炎症

口内炎

歯が口腔の炎症の原因である場合、歯肉などにも炎症が生じたりします。細菌が歯根の先や歯の周囲から侵入して感染してしまうためです。
原因となる歯の治療することは、再発を防いだり顎の炎症の悪化を防ぐ上でとても大切です。原因が歯でない場合、「口内炎」と呼ばれるものが一般的で、口の粘膜(舌、頬、唇など)に炎症が生じます。

口腔粘膜疾患

口の粘膜(舌、頬、口蓋、口底、口唇、歯肉など)に生じる炎症や腫瘍、アレルギー症状を「口腔粘膜疾患」といいます。口内炎もこれに含まれます。
これらの炎症は、歯が原因となって生じることもあります。炎症を起こす細菌が、歯根の先端や歯の周囲から侵入するためです。症状を改善し、再発を防ぐためには、原因となる歯の治療を行うことがとても大切です。

嚢胞(のうほう)摘出

嚢胞の摘出

嚢胞(のうほう)とは、病気によって生じる袋状のものです。中には液体状の成分が詰まっています。
  口の周囲では、顎の骨や舌、唇や頬の粘膜などにできる水膨れのような「粘液嚢胞」がよく見られます。自然とつぶれて一時的に治ったように見えても、再発することが多く、大きくなったり固くなったりすることもあります。
治療では、嚢胞を切除しますが、唾液線の異常が原因となっているときは、唾液腺も切除します。治療は健康保険が適用されます。
  また、歯の根に先に膿がたまる歯根嚢胞(しこんのうほう)という病気もあります。歯の神経を治療した後に比較的できやすい嚢胞です。
  放置していると症状が悪化し、激しい痛みを引き起こすことがあります。早めに治療したほういいでしょう。費用は健康保険が適応されます。

腫瘍(しゅよう)摘出

腫瘍とは、細胞が異常に増えてできた塊です。腫瘍には良性と悪性があります。良性腫瘍にはエナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍、歯牙腫、線維種、血管腫などがあり、悪性腫瘍にはがん、肉腫、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、悪性唾液腺腫瘍などがあります。これらは両性花悪性かを詳しく診断したうえで、治療の方針を決めます。腫瘍の切除後に機能的・形態的再建手術が必要になる場合もあるため、状況に応じ連携専門機関と協力して治療にあたります。

下顎骨隆起(かがくこつりゅうき)の除去

下顎骨隆起

下顎の骨の発育が部分的に活発になり、こぶのような状態になることがあります。これを「下顎骨隆起」と呼びます。
  放置していても、特に問題はないのですが、高齢になって、入れ歯を使用する際に、入れ歯とこぶが擦れて痛みが出ることもあります。手術によって除去することもできますので、見た目や痛みなどが気になる方は、いつでもご相談ください。
  外科手術による切除は健康保険の適応となります。治療費などについても、お気軽にお尋ねください。

過剰歯(かじょうし)抜歯

一般的に永久歯の本数は、親知らずの歯を入れて32本です。ところが人によっては、多く歯が生えてくることがあります。こうした通常より多い歯のことを「過剰歯」と呼びます。
過剰歯自体には何も問題はありませんが、歯が多いとさまざまな問題が生じます。長期間放置せずに、抜歯したほうがいいでしょう。
過剰歯を放置すると次のようなトラブルが起きることがあります。
・歯並びが乱れる
・正常な永久歯が生えてくるのを妨げる
・他の永久歯の根を溶かす
・過剰歯の周りに嚢胞(のうほう)ができる

黒毛舌(こくもうぜつ)

通常、舌はピンク色をしていますが、舌の色が黒ずんでくることがあります。これは舌の表面の乳頭という組織が伸びたためで、雑菌などが付き黒い毛のように見えます。薬の副作用で起こることが多いのですが、喫煙で起こることもあります。
黒毛舌は見た目が気になるだけでなく、味覚障害や口臭の原因になることもあります。自然に治ることもありますが、治療法としては、黒くなった部分を除去したり、薬で菌の繁殖を抑えたりします。治療は、健康保険が適用されます。

舌線維腫(ぜつせんいしゅ)の除去

「舌線維腫」といって、舌にイボのようなものができることがあります。舌が歯に当たるなどの刺激によってでき、多くの場合、良性です。手術で切除して、念のため組織検査をおこないます。治療費は健康保険が適応されます。

舌小帯の切除

舌の下側にある筋が下先まで付着していることが原因で、発音や滑舌が不明瞭になる、舌の可動域が狭くなるなどの症状が出ることがあります。1〜7歳頃の小児に対して舌小帯切除を行うことが多く、この場合は全身麻酔で処置をするケースもあります。治療費は健康保険が適応されます。

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