妊婦さんのお口の健康は出産準備のひとつです。
妊娠すると、産婦人科や地域の保険窓口で歯科検診を受診することを勧められることが多いと思います。
妊娠中は、つわりがあったり体調の変化もあるため、食事の回数や間食が普段より増えたりします。それに加えて、食後や就寝前のブラッシングが体調により難しくなるなどして、虫歯や歯肉炎のリスクが高くなります。
その他にも食生活の変化やつわりの影響で口腔内の環境が悪くなって、虫歯が出来やすくなります。また、ホルモンのバランスが乱れて、歯茎の炎症が起こりやすく歯肉炎(妊娠性歯肉炎)になりやすい時期です。
虫歯菌や歯周病菌が口から体内に入ると、早産や低体重児出産を引き起こす可能性があると言われています。
よって、お口の中のケアは重要な事だと考えられています。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、虫歯菌はいません。大人の唾液が赤ちゃんのお口のなかに入ると感染してしまいます。一緒に生活する人の虫歯治療をしておくことも大切です。
出産後は、赤ちゃんのお世話に追われて歯科医院に行く時間を取るのが難しくなってしまいます。そのため妊娠中に可能な範囲で治療しておく事をお勧めします。
お腹が大きくなる妊娠後期では、仰向けでの治療が苦しくなるので、つわりが治り、体調が良くなってくる安定期(妊娠5ヶ月・16〜19週)に受診するのが良いでしょう。
歯科医院で使用しているレントゲンは放射線量が極めて少ないので、胎児に影響を及ぼす心配はありません。防護エプロンも着用していただき、放射線量を軽減させます。
麻酔についてですが、治療時に歯茎に打つ麻酔はごくわずかな量なので、母子への危険性はほとんどないことが報告されています。安定期(妊娠5ヶ月・16〜19週)であれば、必要な場合には局所麻酔は使用しても問題はありません。
必要があってお薬を処方する場合も、胎児に影響の少ない鎮痛剤や抗生物質を処方します。
親知らずの抜歯は、妊娠前に問題になりそうな親知らず(不十分に生えているなど)がある場合は出来れば抜歯しておくのがおすすめです。もし妊娠中に痛みや腫れが出てしまった場合は、抜歯を避けて産婦人科の先生と相談しながら、消毒や投薬をして症状を緩和させることが多いです。
妊娠中に歯科の検診を受ける事は、生まれてくる赤ちゃんのためにも必要な準備のひとつです。
妊娠期のお口の中の健康を保って安心して出産を迎えましょう。