大切な歯を失わないための予防歯科

虫歯や歯周病は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、知らないうちに進行しているケースが多くみられます。
「歯を失うまで、普通に食事ができる幸せに気付きませんでした。」
そのような声をお聞きすることがあります。
歯は一度虫歯になってしまったら、削らなくてはなりません。
一度削ってしまった歯は、もう元には戻りません。
定期的にお口の中をメンテナンスすることで、様々なトラブルの芽を摘み取ることにつながります。
当院では、歯を健康に保つのに最も重要な「予防」をとても大切に考えております。
予防歯科とは?
予防歯科とは、むし歯や歯周病などの口腔内の病気を未然に防ぐための歯科医療のことを指します。一般的に歯科医院は歯が痛くなったときや何らかの異常が発生した際に受診するイメージがありますが、予防歯科は「病気にならないようにする」ことを目的としています。
具体的には、歯科医院での定期検診やクリーニング、フッ素塗布などのプロフェッショナルケアに加えて、患者さん自身が行う正しいブラッシングや食生活の改善などが含まれます。こうした予防的なケアを継続することで、生涯にわたって健康な歯を維持することが可能になります。
予防歯科の目的
予防歯科の最大の目的は、むし歯や歯周病の発症を防ぐことにあります。これにより患者さんが将来的に大掛かりな治療を受けるリスクを減らし、健康な口腔環境を維持できるようになります。
また、予防歯科は単に歯の健康を守るだけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。例えば、歯周病は糖尿病や心血管疾患と関連があることがわかっており、歯の健康を守ることが全身の健康維持にもつながるのです。
予防歯科の重要性
予防歯科の重要性は、以下の3つの観点から考えることができます。
- ・歯の寿命を延ばす
日本人の平均寿命は80歳を超えていますが、一方で「歯の寿命」は平均して50~60歳とされています。定期的な予防ケアを行うことで、歯の寿命を延ばし、健康な状態を維持することができます。
近年では「8020運動」といった取り組みも進められており、80歳になっても20本以上の歯を維持することが理想とされています。そのためには、日頃のセルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスが不可欠です。 - ・治療費の削減
むし歯や歯周病が進行してから治療を受けると、治療費が高額になることがあります。しかし、定期的なメンテナンスを行うことで、大きな治療を回避でき、結果的に医療費の節約につながります。
例えば、初期のむし歯であれば簡単な治療で済むものが、放置して進行すると根管治療や抜歯が必要になり、その後の補綴治療(ブリッジやインプラント)などで大きな負担がかかることになります。 - ・全身の健康を守る
近年、歯周病と全身疾患の関係が注目されています。歯周病が進行すると、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病などのリスクが高まることが報告されています。したがって歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることにもつながります。
歯を失う原因
歯を失う原因にはさまざまなものがありますが、主に以下の3つが挙げられます。
- ・むし歯の進行
初期のむし歯であれば、適切な治療を受けることで歯を残すことができます。しかし、むし歯が進行して神経まで達すると、最終的に歯を抜かなければならないことがあります。特にむし歯の再発は大きな問題であり、一度治療した歯でも不適切なケアが続くと再びむし歯になり、結果的に抜歯へとつながるケースが多くあります。 - ・歯周病の悪化
歯周病は、日本人が歯を失う最大の原因とされています。歯周病が進行すると歯を支える骨が溶けてしまい、歯がぐらついて最終的に抜け落ちてしまうのです。特に、歯周病は痛みを伴わずに進行するため、気づいたときには手遅れになっていることも少なくありません。30代以降の方は定期的な検診を受けることで、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。 - ・事故や外傷
交通事故やスポーツ中のケガなどで歯が折れたり、抜けてしまうことがあります。特に高齢者の場合、転倒によって歯を失うケースもあります。また、歯ぎしりや食いしばりなどが原因で歯にダメージが蓄積し、最終的に破折してしまうこともあります。
歯周病の罹患率
日本では成人の約80%が何らかの歯周病にかかっていると言われています。特に、30代以降から歯周病のリスクが高まり、40代、50代になると症状が悪化しやすくなります。初期の歯周病は自覚症状がほとんどないため、多くの人が気づかないまま進行してしまうのです。
歯周病が及ぼす全身への影響
歯周病は口腔内だけの問題ではなく、全身の健康にも大きな影響を及ぼします。
- ・心血管疾患との関連
歯周病の原因となる細菌が血流を通じて全身に回ることで動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることが指摘されています。 - ・糖尿病の悪化
歯周病は糖尿病と相互に悪影響を及ぼすことが知られています。歯周病が進行すると血糖値のコントロールが難しくなり、逆に糖尿病が悪化すると歯周病も進行しやすくなります。 - ・誤嚥性肺炎のリスク増加
高齢者に多い誤嚥性肺炎は、口腔内の細菌が気道に入り込むことで発生します。歯周病を放置すると細菌の増殖が進み、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。 - ・妊娠への影響
妊婦が重度の歯周病を持っていると、早産や低体重児出産のリスクが高まることが報告されています。そのため、妊娠前からの予防ケアが重要になります。
当院の予防メニュー
PMTC
当院の人気メニューのひとつです。毎日すみずみまで磨いているつもりでも、歯ブラシの届きにくいところには、どうしても汚れが残ってしまいます。残ってしまったプラーク(細菌の塊)は次第にバイオフィルムという集合体を形成し、いったん出来てしまったバイオフィルムは歯磨きだけでは除去出来ません。その部分を徹底的にお掃除してくれるのがPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)です。
PMTCとは、歯科医院で専門の器具を使用して行う歯のクリーニングのことです。毎日の歯磨きでは落としきれない歯垢やバイオフィルム(細菌の膜)を、歯科医師や歯科衛生士が徹底的に除去します。
- <PMTCを受けるメリット>
- ・むし歯、歯周病の予防
細菌の温床となるバイオフィルムを除去し、口腔内の健康を維持します。 - ・歯の着色を除去
コーヒーやタバコなどの着色汚れもきれいにできます。 - ・口臭予防
細菌の繁殖を抑え、口臭の改善に効果的です。
定期的に PMTCを受けることで、健康な歯を長く維持することが可能になります。

フッ素

フッ素には歯の表面のエナメル質を丈夫にし、むし歯に強い歯を作る性質があります。当院では高濃度(9000~9500ppm)のフッ素を塗布し、むし歯になりにくい強い歯質を作るサポートを行っています。しかし、1回のフッ素塗布だけでは十分な効果を得ることはできません。定期的にフッ素塗布を行うことで、むし歯予防の効果をより高めることができます。
- <フッ素の3つの役割>
- ・歯の再石灰化を促進する
毎日の食事によって、口の中は酸性になり歯の表面のカルシウムやリンが溶け出す「脱灰」が起こります。フッ素にはこれらのミネラルを歯に戻し、再び強いエナメル質を作る「再石灰化」を促進する働きがあります。 - ・歯質を強化し、むし歯に強い歯を作る
フッ素が歯の表面に取り込まれることで、酸に強いフルオロアパタイトという結晶構造が形成されます。この強化された歯質は、むし歯の原因となる酸によるダメージを受けにくくなります。 - ・むし歯菌の活動を抑制する
口腔内の細菌は糖を分解して酸を作り出し、それが歯を溶かしてむし歯の原因となります。フッ素はこの細菌の働きを弱め、酸の生成を抑えることで、むし歯の発生を防ぎます。
<フッ素の活用方法>
当院では、歯科医院でのフッ素塗布に加え、家庭で使えるフッ素配合のジェルの販売も行っています。特にお子さんの場合は歯が成長過程にあるため、定期的に通院してフッ素塗布を受けることをおすすめしています。当院にはフッ素塗布のためだけに来院される患者さんも多く、予防歯科の一環として継続的なケアを推奨しています。 フッ素を上手に活用し、むし歯になりにくい強い歯を維持していきましょう。
シーラント

シーラント材を塗布して光で固めます
お子さんにとって、むし歯は大敵です。歯の間や歯と歯肉の境目だけでなく、奥歯の溝もむし歯が発生しやすい部分です。これは、奥歯の溝が深く複雑な形状をしており、歯ブラシの毛先が届きにくく汚れがたまりやすいためです。
そこで、現在では「シーラント」が普及しています。シーラントとはむし歯を予防するための歯科処置の一つで、奥歯の溝にプラスチック製のシーラント材を塗布し、光で固めることで溝を埋めて汚れがたまりにくくする方法です。これにより食べかすや細菌が溜まるのを防ぎ、むし歯のリスクを大幅に軽減することができます。
ただし、シーラントは人工的な歯科材料でできているため、日常の食事や歯ぎしりなどで取れてしまうことがあります。そのため定期的な歯科検診を受け、シーラントの状態をチェックすることが大切です。シーラントを適切に活用し、お子さんの歯を健康に保ちましょう。
予防歯科も当院にお任せください

予防歯科は、むし歯や歯周病を未然に防ぐだけでなく、全身の健康を守るためにも重要な役割を果たします。定期的な歯科検診や適切なセルフケアを行うことで、生涯にわたって健康な歯を維持することができるでしょう。定期検診やクリーニングのご予約は、お気軽にお問い合わせください。