こんにちは。サカモト歯科医院です。
自分の歯を何らかの原因で失った場合、いくつかの修復治療がありますが、なかでもインプラント治療は機能性と審美性のどちらにも優れている大変有効な治療方法です。インプラントはすべて人工物でできていますが一体どんな材料を用いてどんな構造で作られているのでしょうか?
目次
そもそもインプラント治療とは
インプラントとは、歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。歯科インプラントは、失われた歯の機能と審美性を回復するための優れた方法として広く認知されています。インプラントの歴史は古く、古代エジプトや古代中国でも類似の技術が存在していましたが、現代のインプラント治療は1950年代にスウェーデンの整形外科医、ペル・イングヴァール・ブローネマルクによって開発されました。
インプラントの基本構造
インプラントの基本構造は、大きく分けて3つの主要な部分から成り立っています。これらは、人工歯根(インプラント体)、アバットメント(連結部分/支台)、および人工歯(上部構造)です。それぞれの役割を見ていきましょう。
①人工歯根(インプラント体)
人工歯根は、その名の通り顎の骨に埋め込まれる部分で、実際の「インプラント」として機能します。この部分が、骨と結合し、安定した基盤を提供します。いわばインプラント治療の核となる部分です。インプラント体がしっかり骨と結合しないとインプラントは成功に至らないため、骨の健康状態は非常に重要な要素になります。
②アバットメント(支台)
アバットメントは、人工歯根と上部構造を結びつける役割を果たします。これはインプラント体の上に取り付けられ、支台となる重要な部分です。
③上部構造(クラウン))
上部構造は、お口の中で見える部分で、実際の歯の形と機能の役割を果たします。見える部分なので機能性だけでなく審美性が重要視される部分でもあります。
構造別の材料
・人工歯根(インプラント体)の材料
人工歯根は主にチタンとチタン合金を材料として作られています。これらの金属は優れた生体適合性と高い耐久性を誇ります。チタンは、骨との結合が非常に良好で、長期間にわたり安定した接合を保つことができます。チタン合金は、純チタンよりも強度が高く、さらに耐久性に優れています。また、一部の治療において金属アレルギーがある患者様に対してはジルコニアを材料として作られたインプラント体を用いることもあります。自然な歯に近い色をしており、審美的な面でも優れています。
・アバットメント(連結部分)の材料
アバットメントには、インプラント体と同様に高い生体適合性を持ち強度と耐久性に優れているチタンが一般的に使用されます。そのほか、審美性に優れているジルコニアアバットメントは見た目が重要な前歯などにインプラントを適用する際に使用されることがあります。
・人工歯(上部構造)の材料
インプラント治療の人工歯で用いられる素材は主にセラミック系のものです。セラミックは、自然な歯の見た目に最も近い材料であり、前歯のクラウンに広く使用されます。強度も高く、長期間にわたって色の変化が少ないのが特徴です。自分の歯と同じような質感や色、艶を再現できるので歯を美しく見せたい人にもおすすめです。
材料の選定基準は?
✔️生体適合性
材料は、生体適合性が高くなければなりません。つまり、体に害を及ぼさず、異物反応を引き起こさないことが重要です。
✔️強度と耐久性
インプラントは、長期間にわたり機能する必要があるため、材料の強度と耐久性は非常に重要です。
✔️審美性
特に前歯のインプラントでは、審美性が重要な要素となります。材料は、自然な歯の色や質感に近いものであることが求められます。
まとめ
インプラントの材料と構造は、成功する治療の鍵となります。適切な材料の選定は、生体適合性、強度、審美性のバランスを考慮することが重要です。インプラント治療の研究は日々進んでおり、現在もより優れた生体適合性と機械的特性を持つ新しい材料の開発が進められています。今後インプラント治療はさらに発展していくと考えられています。
当院ではインプラント治療をはじめて受ける患者様に対し、丁寧にカウンセリングを行っております。気になることや不安があればお気軽にご相談ください。