8020運動とは厚生労働省と日本歯科医師会により推奨されている運動です。
歯科と関係する運動で80歳まで20本以上の歯を残すことを目的にしています。80歳で20本の歯を残して、充実した食生活と健康的な人生を楽しむためを目標とした運動です。

歯と全身の健康状態に関与する研究が進み、歯が少なければ少ないほど全身の健康が損なわれて、循環器疾患や認知症発症のリスクが高まることが分かってきました。厚生労働省の研究機関が、医療費や特定健康診査などのデータベースに基づいた結果、歯の本数が19本以下の人は20本以上の人に比べて医療費が高いことが判明しました。さらに年齢が若ければ若いほど、その傾向が強いということがわかってきたのです。

歯を失うと繊維の多い野菜や、お肉などの硬い物なども摂取しにくくなるため、タンパク質やビタミンなどが不足しがちになります。これらの原因で筋肉量が減少し、体調不良などになりやすくなります。また歯が少なくても食べやすい食べ物の中に麺類やパンなどがあります。これらは糖質が多く含まれているため、習慣的に多く食べていると肥満傾向になり生活習慣病につながっていきます。
またそれだけではなく、歯の役割として食事や会話を楽しむといったことがあります。歯が少なくなると会話や食事がしにくくなり知人・友人などとの交流が減ったりして、うつ病や認知症発症リスクも上がると言われています。

私たちの歯は親知らずを省くと28本の歯があります。厚生労働省によると、50歳以上の人は平均して毎年1本以上の歯を失い60歳代になると平均14本の歯を失っているというデータがあります。
生涯にわたって自分の歯を20本以上保つことができれば、食生活に大きな支障がなく、話す・笑うといった日常生活も維持できます。そのような考えで提案されたのが80歳になっても自身の歯を20本以上残そうという考えからはじまったのが8020運動です。この運動は1989年に始まり、2016年には半分を超えてきました。今現在75歳から84歳で自身の歯が20本以上残っている人はさらに増加してきています。

高齢になっても自分の歯でしっかり咬めると言う事は幸せなことだと思います。しかし8020運動を実現するためには、若い頃からの日々の正しい歯磨きと定期的な歯科検診を受ける必要性があります。
また虫歯や歯周病で自分の歯を何本か失い、入れ歯を使っていると言う人でも、入れ歯をしっかり調整すれば咬む力は回復します。入れ歯であっても、きちんと咬めていれば健康状態が良好になるという研究結果もあります。年配の方の中には入れ歯が不調で入れ歯に対して違和感・異物感を覚え、使用しなくなっている人もたくさんいます。しかし入れ歯を使わないでいると他の歯に負担がかかってしまい、さらに歯周病が悪化したり歯が折れたりと悪循環に陥ります。
入れ歯を使用することにより食べる・話す・笑う・歌うなどができるようになり、生活の質が向上しますので、是非とも使用し続ける事をおすすめします。